歯周病は抗生物質(ジスロマック)だけでは治らない

抗生物質を飲めば歯周病は治ると聞きましたが本当ですか?

抗生物質を飲めば歯周病は治ると聞きましたが本当ですか

これは私が患者さんから実際に質問された内容です。

結論から言うと、抗生物質を飲むだけでは、歯周病は治りません。
その理由は、抗生物質を飲んで一時的に細菌数が減ったとしても、細菌はすぐに元通りになってしまうからです。

とはいえ、抗生物質飲んでいるのにどうして治らないの?内科にいって風邪を治すのに使っているでしょ?と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、もう少し詳しくお話していきましょう。

除菌・抗菌・殺菌・滅菌という言葉の意味を知る

除菌・抗菌・殺菌・滅菌という言葉の意味を知る

抗生物質(ジスロマック)を飲めば歯周病が治ると書いてある記事には、必ずと言ってよいほど「除菌・殺菌」と書いてあります。

特にコロナ禍ではこの言葉に敏感になっている方もいらっしゃったかと思います。それぞれの定義に触れていきましょう。

除菌

除菌は言葉の通り、「特定の菌を取り除く」ということです。つまり、殺菌数を減少させることですが、どの種類の細菌が減るのか、どれくらい減るのかなどの明確な定義はありません。したがって、除菌をしても細菌がいなくなるわけではないということになります。

抗菌

抗菌は菌が増えないようにすることです。
菌が住み着きにくい状態にすることが目的なので、菌を減らすことではありません。菌が増殖(繁殖)「しにくい」ことが抗菌の定義です。

殺菌

殺菌は除菌よりも少し強く、「特定の菌を殺すこと」です。
しかし、殺菌の定義も除菌と同様、どの種類の菌を殺すのかなどは明確に定義されていないため、殺される菌も入れば生き残る菌もいる。ということになります。元々歯周病の原因となる細菌は常在菌なので、お口から追い出すことはできません。

滅菌

滅菌の定義は菌やウイルスの数をゼロに近づけることです。
これまで紹介した3つの意味合いとは違い、最も強い意味を持ち、更には、微生物の数を100万分の1に減らすことであると明確な定義もあります。つまり、この状態にまでしないと細菌はなくならないのです。

では、どうすれば歯周病は改善するのか?

どうすれば歯周病は改善するのか

歯周病の主な原因はプラーク(バイオフィルム)ですが、健康な歯周組織と悪さをしてしまうプラーク(バイオフィルム)の天秤が悪さをしてしまう方に傾いてしまうと、均衡が取れていたバランスが崩壊してしまいます。

そうすることで歯周病になり進行していくのですが、この天秤のバランスをきちんと取り続けることが重要です。

つまり、悪い細菌の除去と細菌をコントロールするためのセルフケア(プラークコントロール)、歯科衛生士による歯肉縁上・縁下の歯石やプラークの除去が何よりも重要であると言えます。

歯周病治療に抗生物質は意味がないのか?

歯周病治療に抗生物質は意味がないのか

歯周病治療に抗生物質は意味がないわけではありません。

歯周病治療では抗生物質を併用するフルマウス・ディスインフェクション(FMD)と呼ばれる治療方法があります。

これは治療と治療の間に、治療していない場所から治療した場所に歯周病菌が付着することで歯周病が改善しないリスクを抑えるために、抗生物質を服用し、歯周病菌が静菌(菌が落ち着いた状態)で全顎一気にプラークや歯石を取り除く治療です。

つまり、抗生物質だけで歯周病を治すことはできないけれど、歯周病の治療と併用することで高い治療効果が得られます。とはいえ、患者さんのお身体の状態によってはお薬の使用が制限されることもあるので注意が必要です。

抗生物質を飲みたくない方にはレーザー治療をおすすめしています

抗生物質を飲みたくない方にはレーザー治療をおすすめしています

当院では抗生物質を飲みたくない、または飲めない方に対しては、レーザー治療(ペリオウェイブ / フォトダイナミックセラピー)を行っています。詳しくは歯周病のレーザー治療のページを御覧ください。

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歯周病のセカンドオピニオンを受け付けています

豊島区目白にあるたかはし歯科医院では、日本歯周病学会専門医・日本臨床歯周病学会認定医の院長や日本歯周病学会認定の歯科衛生士が在籍してます。

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